あした、弁当を作る

紹介文

「そうじ、洗濯、お弁当、洗いもの・・・
毎日のたくさんの家事を「お母さんがやらなくていい」と言われたら、どう思いますか?
優しいお母さんにこそ読んでほしい本」


昔はアルミの弁当箱でよく汁が溢れた。
汁物を入れるな、臭いがするのは入れるな、同じおかずで飽きたと母に文句言ったら
『明日から自分で作りなさい』と叱られた。苦い思い出だ。
この本の主人公は自ら『自分で作る』と言い放った。世のお母さんどうしますか?


思春期のお子さんがいるご家庭の日常の物語かもしれませんが、タツキ君は親に対する観察力が鋭くて見どころです。

どこのお家にもある「我が家のルール」が子どもにどんな影響を与えているのか、考えさせられました。
ひとつわかったことは、子どもは環境に応じて変わっていくということです。
(ブックランドフレンズ店長)

あらすじ



主人公は中学一年生の男の子タツキ、ある日、クラスメイトから「お前んちのお弁当手が込んでて豪華だな」と褒められました。
そのことをお母さんに話すと「あらそう?普通だと思うけど」と言いつつ嬉しそうでした。
次の日、お弁当箱の蓋を開けて驚きました。昨日まで以上に豪華になっていたからです。
クラスメイトは羨ましそうにみつめましたが、タツキはなぜか食欲がなくなりました。

毎朝、家を出るときに「いってらっしゃい」と言って肩を触られることも、帰宅したら手作りのおやつが用意されてることも、
必ず部屋を掃除してくれていることも、お母さんが自分にしてくれるすべての行為に違和感を感じ始めます。
お母さんの愛情だとわかりつつも、そのおかげで自分は何もしない人間になっている気がしたり、
またお母さんがしていることは自分を支配しているようにも思えてきました。 

そんなタツキのことをクラスメイトは「反抗期」だとか「成長期」と言います。
タツキは自分に何が起きているかわかりません。そのままの気持ちをお母さんお父さんに話しますが、
頭ごなしのことを返されるだけでタツキは親に不信感を抱き始めます。
そしてついに、お母さんに「明日から自分でお弁当をつくるからもう作らなくていい」と告げました。

お母さんはなぜタツキの様子が変わったのかわかりません。
自分の生きがいがなくなるようで寂しくなりました。
お父さんは「お母さんの仕事を奪うな、弁当つくる時間があるなら勉強しろ」ときつく叱るだけです。
しかしタツキは決行します、お小遣いで買えるだけの冷凍食品を買い込んできました。
それだけではありません。お母さんが部屋に入らないように選択も自分ですることにしました。

タツキのお弁当は日に日に進化しますが、お母さんとお父さんとの関係は日に日にギクシャクしていきます。

詳細

  • 生徒★★★★   保護者★★★★★
  • あした弁当を作る
  • ひこ・田中
  • 講談社 ¥1400(+税)