いのちをいただく
紹介文
以前、メイトクの本棚で紹介した「ここ―食卓から始まる生教育」という本の著者の内田美智子さんが、坂本さんから聞いた話を絵本にしたものです。以来、全国に広がりいろいろなところで読まれています。
命を「解く」ということばを、ご存知ですか。食肉解体業に携わる人々が、牛や豚を殺す、という意味で実際に使っている言葉です。
これは、食肉センターに勤めて実際に命を解くことを仕事にされている、坂本義喜さんのおはなしです。
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牛の命を解いて、お肉にする。坂本さんはこの仕事がずっといやでした。
世の中の人々にとって大切な仕事だということはわかっていても、牛と目が合うたびに、仕事がいやになるのです。心のどこかに、いつか辞めたい、という思いを抱えていました。
あるとき、こんな坂本さんの気持ちを変える出来事があったのです。
小学校三年生の息子のしのぶくんの参観日。食肉解体の仕事をかっこ悪いと思っていたしのぶくんですが、仕事の大切さについて教えてくれた先生の言葉を受け、お父さんの仕事の偉大さを理解していきます。
息子の理解に励まされ、仕事を続けようと決意したある日、目の前に現れたのは一匹の牛と女の子でした。
「みいちゃん、ごめんねぇ。」謝り続けながら牛のお腹をにさする女の子。生まれた時から一緒に育ってきた牛のみいちゃんとの別れを悲しむその姿に、気持ちが揺らぐ坂本さんは、解体の仕事を休むとしのぶくんに打ち明けます。
「この仕事はやめよう。もうできん」そんな坂本さんに、しのぶくんがかけたことばは・・・。
「今、みんなが食べているものは他の動植物の犠牲に成り立っている。」ということが理屈抜きでわかる本です。食べるものすべてに感謝することができる一冊です。小中学生にはぜひとも読んでもらいたいです。
詳細
- 生徒★★★★★★・保護者向★★★
- いのちをいただく
- 文:内田美智子 絵:諸江和美
- 西日本新聞社 ¥1200+税