くちぶえ番長

紹介文

【作品・あらすじ説明】
  
大島真寿美(作家)さんの書評が内容をうまく表現しているので紹介します。
『くちぶえ番長』という、そもそもタイトルからしてちょっと懐かしいような響きのあるこの物語の舞台は、おそらく昭和四十年代。
小学四年生のツヨシの学校に、一人の転校生、マコトという女の子が引っ越してくるところから物語は始まる。
 この、マコトこそが、くちぶえ番長。颯爽と一輪車を乗りこなし、ちょんまげみたいな髪型をした、スポーツ万能、弱きを助け強きをくじく、スーパーガール。
 しかも、この女の子、転校早々、自己紹介で、番長になりたいと宣言してしまったものだから、みんなびっくり。
何から何まで型破りな、こんな女の子が突然現れたら、そりゃあもう、周囲への影響は甚大です。
優等生ではあるものの、いくぶんひ弱なツヨシなんぞは、マコトによって、徹底的に揺さぶりをかけられる。
あんた、それでいいの? かっこわるー。そんなんじゃだめじゃん。
マコトはそれをさらりと言うし、さらりと行動にうつす。
とにかく、いかした女の子なんですね。
ふらりと現れ、悪を退治し、ふらりと去っていく、日活映画のさすらいのヒーローみたい。
マコトは女の子なんだけど。あ、そうか。だから、マコト、なんていう中性的な名前を与えられているのかもしれません。
そんなマコトに揺さぶりをかけられ、成長するツヨシくん。
彼の中に眠っていた“強さ”が目覚めるのをマコトが助けただけかもしれないけれど、ツヨシはマコトとの出会いによって確実に変化する。
小学四年生なんていう年齢は、いくらでも成長する時期ですからね。ほんのちょっとの偶然で、いかようにも成長してしまえるんです。

詳細

  • 生徒★★★★  保護者 ★★★
  • くちぶえ番長
  • 重松清
  • 新潮文庫 ¥529(税込)