紙つなげ!彼らが本の紙を造っている

紹介文

2011年3月11日、東日本大震災で日本製紙石巻工場は津波に呑みこまれ、完全に機能停止した。製紙工場には「何があっても絶対に紙を供給し続ける」という出版社との約束がある。しかし、状況は従業員の誰もが「工場は死んだ。」と口にするほど絶望的だった。この工場の従業員は奇跡的に全員無事であったが、工場の敷地内では近隣から流れてきた家屋、18棟、自動車約500台が浸かっていて、その後41名の犠牲者が発見された。 

 実際、日本製紙はこの国の出版用紙の約4割を担っている。その会社の主力工場がこの被害である。にもかかわらず、工場長が復興を宣言。その日から従業員の戦いが始まった。食料も電気もガスも水道も復旧していない状態での作業は困難を極めた。だが、従業員はみな、工場のため、石巻のため、そして、出版社と本を待つ読者のために力を尽くした。

 これこそ、日本のものづくりの底力です。一冊の本が造られる裏側にはこんなにもドラマがあったのか!!と思わせる1冊です。

詳細

  • 生徒・保護者向★★★★★
  • 紙つなげ!彼らが本の紙を造っている
  • 佐々涼子
  • 早川書房 ¥1500+税