「伝説の会議」(松下幸之助)
ひすいこたろうさんのブログ「名言セラピー」から紹介します。
ひすいさんが過去に本に書いた中から、今こそ伝えたいって
思うものを紹介していました。
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「伝説の会議」
昭和36年。
経営の神様、松下幸之助(当時67歳)率いる松下通信工業
(現在のパナソニック)の幹部全員が集まり会議が開かれていました。
それは、後に「伝説の会議」と呼ばれます。
その全貌をお伝えしましょう。
トヨタ自動車から松下通信工業に対して、大幅な値引き要求があったのです。
松下が納めていたカーラジオを半年以内に
20%コストダウンしろ、との要求があったのです。
これは松下にとって、「死ね」というに等しいくらいのムリな要求でした。
松下の幹部たちは困り果て、言葉もでない。
20%のコストダウンなんて絶対ムリ。
静まり返る会議室に、あの男が現れます。
松下幸之助の登場です。
ここから幸之助の伝説のトークが始まります。
第一声はこう。
「どうして、トヨタはこういう要求をしてきたんや?」
トヨタのこの要求の裏には貿易の自由化問題がありました。
GMやフォードといった大メーカーとの価格面での競争が本格化し、
このままでは日本の自動車産業そのものが滅んでしまう、
という危機感がトヨタにはあったのです。
「そうか。そういうこっちゃな。
でも、よく考えてみい。
松下がトヨタさんの立場だったらどう考えるかや。
やはり、同じ要求をしていたかもしれんな。
君らは無茶な要求やと驚いてるが、 トヨタさんはどうや。
どうすればコストダウンを達成して、日本の自動車産業を
発展させていくことができるかという危機感でいっぱいやろう。
いわば業界全体、 さらには国のためを考えてるんや。
松下一社の話とは違うんや。
ここは『できません』と断ってはいかんと思う。
なんとしてでも、値を下げなければならん」
幸之助のこの発言に対して、 幹部の一人がこう発言した。
「けれどもトヨタの要求はまず5%、半年後に15%。
計20%という無茶なハードルです」
それに対して幸之助はこう返した。
「コストダウンというのは5%、10%を目標にしたらかえってできないんや。
20%となると、もう小手先の知恵ではどうにもならない。
発想を全て変えないとできん。
大きさを半分にしてしまうくらいの発想でないと、これはできんわな?
これは単に値引き要求を受けた というだけのことではないんや。
日本の産業を発展させるための公の声だと受け止めなければならんのやないか?
もし20%の値引きに耐えられる 製品ができたら、どうや?
トヨタさんだけやなく世界で通用する製品になるんやないか?」
ここで、会議室の空気が一変したといいます。
この会議に参加していた幹部の一人は
「最初、みんなが困惑して淀んでいた会議の雰囲気が
ぱっと晴れたかのように明るくなった」と語っています。
「これができたときには全世界の会社が売ってくれと飛んでくるで。
そう考えると、これはピンチやないな。
松下にとって飛躍への天佑やな。
チャンスやと思わんか?
ありがたいことに、できたら買ってくれるという先まで決まってるんや。
こんなにありがたいことはないで。
普通は納入先を探さなあかんのやからな」
幸之助がこう語り終える頃には、
「やります!やります!きっとやり遂げます」と、
幹部一人一人の気持ちは燃えあがっていました。
最後に幸之助は幹部にこう言ったという。
「よし、その調子やで。ところで、いま利益はどのくらい出とるんや?」
「3%です」
「なに!? 3%やて? 少なすぎるで、それは」
数分前まで深刻に困り果てていた幹部が、やる気になり、
そして最後のこの会話で笑いが起きた。
やる気があり、笑いもある。
そんなところには、天使が舞い降りるのです。
結論を書きましょう。
松下、コストダウン20%達成。
本気になって協力してくれた松下の心意気に、
トヨタも販売台数という形で答えた。
つまり、コストダウン20%したにもかかわらず、
以前よりも松下の利益が増えたのです。
まさに、この瞬間、松下通信工業がカーラジオの
トップメーカーへ踊り出たのです。
「人間は行きづまるということは絶対にない。
行きづまるというのは、自分が“行きづまった”
と思うだけのことである」
by松下幸之助
復活ルール
行き詰ったときは、発想を根こそぎ変えるチャンスです。
「好景気は企業が伸びる。 不景気は人が伸びる」
by松下幸之助