「思いを変える」あるタクシー運転手の話

「自分が好きですか」林覚乗著から紹介します。
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  この間、タクシーの運転手さんに教わったことがあります。
「私はタクシーの運転手になったときに、この職業は世の中に貢献できる仕事じゃないと思って、自分で自分をだめにしてきた。
お客さんとのトラブルは多いし、売り上げもあがらん。
家に帰ってくれば体もきつくて、食事ものどを通らない。
 そして、事故ばかり起こして、本当にどうしようもない自分やった。」

「今はどうなんですか」とたずねたら、
「今は気持ちを切り変えたら、タクシーの運転手にすごい生きがいを感じています。
タクシーには2分間乗る人もいれば、5分間乗る人も、10分間乗る人もいる。
たとえ、何分間かの短い、長いの違いはあったとしても、その時間は乗ってきた人との素晴らしい出会いの時間なんだ。
その、素晴らしい大事な時間を気持ちよく乗ってもらい、降りた後、その方が気持ちよく仕事をしてくれたとしたら、
私はその人の仕事に間接的に貢献できているんだ、と思うようになりました。

それからの私は、お客様に気持ちよく乗ってもらうために、どんな近くであっても、
にこにこして引き受けることができるようになりました。
そうすると事故も起こさなくなった。体の調子もいい。
そして、自分を指名してくれるお客さんがどんどん増えました。
今はそういう状態なんです。」

この方は、職業が変わったわけでも何でもないのです。
自分の思いを変えられたことで、仕事に対する力そのものが変わってきた。
 私は「思いを変える」というのは、このことではなかろうかと思います。

与えられることを望むよりも、与えることに喜びを感じるということが、
素晴らしい自分をつくっていくことにつながるんだと思うんです。