『母の日と古ぼけた二足の靴』

今週末は母の日ですね。
母の日にちなみ、  おなじみ志賀内泰弘さんの
「ギブ&ギブメルマガ」から紹介します。
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『母の日と古ぼけた二足の靴』

名古屋市瑞穂区の小栗健吾さん(40)は毎年、
母の日に二人の子どもを連れて実家を訪れる。
お姉さんも二人の子どもと一緒にやってくる。
4人の孫が競うようにして肩を叩く
小栗さんの両親はそれを楽しみにしている。

2年前の母の日のことだ。
実家の玄関で二足の靴を見かけた。

ペアのトレッキングシューズだ。茶色に変色し、ずいぶん古ぼけている。
「あれ?これって…」と首をかしげたとき、母親が言った。

「この靴、15年前にあなたが初任給で買ってくれたものだよ。
大切に履いていたので今でももっているのよ。これからも大事に履くからね」

小栗さんは当時のことを思い出した。

「初任給で何かプレゼントしたい」と言うと、「夫婦でハイキングに出掛けたい」
というので贈ったことを。

自分でも忘れかけていたのに、ずっと大切にしていてくれたのだと思うと泣けてきてしまった。
母の日に反対に大きなプレゼントをもらった気がしたという。

そんな自分が、今は父親になった。
先日のことだ。
会社に着くとコートのポケットが膨らんでいることに気づいた。
手を入れると、みかんと一通の手紙が出てきた。
それは小学4年と1年の娘からのものだった。

それぞれに「お仕事がんばってね。みかん食べて風邪ひかないでね」
「パパ大好き」。

残業続きで午前さまが続いているのを心配してくれたのだった。

その手紙は小栗さんの宝物になっている。

母の日に、小栗さんから母親へのメッセージ。
「生んでくれてありがとう」。

そして、娘さんたちへのメッセージ。
「生まれてくれてありがとう」

<中日新聞掲載2012年5月13日>

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さて、あなたは母の日にどんなことをしますか。