その一言で元気になれる人がいる

『日本講演新聞』に子ども家庭教育フォーラム代表で教育・心理カウンセラーの
富田富士也さんの記事が載っていました。保育園で仕事される先生の話が、
良かったので紹介させてください。
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幼稚園教諭や保育園の先生、介護士、看護師、そして学校の教員もなり手が激減してきています。
これは深刻な問題です。対人援助の仕事が、だんだん「消費者とサービスの提供者の関係」の
ような感覚になってきているのかもしれません。

そして、その中でお互いに「ありがとう」と言い合ったり、
「一緒に子どもを育てている」という共育の意識だったり、
そういう関係性までもが忘れつつあるのかもしれません。

先生にだって、保護者にだって、苦しいときがあるんですよ。
だからこそ、それを分かち合い、支え合い、時に甘えていくことが大事なんです。
今の保育の現場というのは、何かしら殺伐とした雰囲気が
あるような気がして、時に寂しくなることがあります。
先生も保護者もお互いに「ありがとう」と言い合える関係や文化を、
もう一度身近なところから作り上げていきましょう。
ある園に勤める先生の文章を紹介します。
  ・  ・  ・  ・  ・
娘二人がまだ小さかった頃のことです。
いつものように朝、保育園に預ける準備と出勤の支度をしていると、
5歳の長女が「ママ、しんどい」と言うです。
少し熱がありました。
「どうしよう。今日は行事があるから園を休むわけにいかないし・・・」
と私は頭を抱えました。
実家の母は、「大丈夫よ。お医者さんに連れて行ってあげる」と言ってくれました。
実家に出発し、往復1時間半以上かかる道のりを車で走りました。
そして、実家に着いて、子どもをおいて、「さあ、出勤」と急ぎました。
下りの長い坂道で、つい車のスピードが加速しました。
突然、1本の棒が差し出され、私の車は止められました。
警察のスピード違反の検問でした。
駐車場に誘導され、質問に答えていると、思わず涙があふれ出ました。
自分の不注意ではあるものの、「熱のある子を預け、
後ろ髪をひかれる思いをしながら来たのに」と
心の中は悲しさでいっぱいでした。
「先生という身でありながら」と悔やみもしました。

 その後、出勤し、いつものように園で子どもたちを迎えました。
1人のお母さんが「先生どうしたの?」と言うので経緯を話しました。
するとこう言ってくれたのです。
「先生、無理して出勤されたんだね。うちの子、先生が大好きなんだって。
先生はいつも“おはよう”と言いながら一人ひとりを抱きしめてくれるから。
私も二人の子どもを育てながら仕事を続けているから先生の気持ち、
よくわかる。先生、お互いに頑張ろう。
今日も子どもたちをよろしくお願いします。」
その励まし、優しさに思わずまた涙があふれそうになりました。
「子どもたちに涙を見せちゃダメだ。」と思って、
後ろを向くと、その母親の子どもが、
「ママ、先生を泣かしたらアカン」と怒りました。
「〇〇ちゃん。違うのよ。〇〇ちゃんのお母さんがとっても優しい言葉を
先生に言ってくれて、その言葉がとても嬉しくて先生泣いちゃったの」
と伝えると、「ふーん、大人ってうれしくても泣くんだ」と言いました。
その言葉に、その場にいたみんな大笑いです。
私も泣き笑いでした。その瞬間、ごちゃごちゃしていた胸のつかえが
スーッと下りました。
  ・  ・  ・  ・  ・
私のところに若い幼稚園の先生が相談に来て、よく言います。
「毎日のように園をやめたいと思います。でも、朝になると体が動き、
園の子どもたちの顔がみたくなるんです。保護者の『一緒に頑張ろう』
という声が聞こえてくるんです。」と。

先生だって仕事が嫌になってしまうことがあるのです。
でも、保護者や子どもたちの声があれば、
それに支えられたり励まされたりして頑張れたりするのです。
お子さんがお家に帰ると、きっと園の先生の話題も出ることでしょう。
そんなときはぜひ園の先生に教えてあげてほしいのです。
その声に先生は励まされ、うれしくなり、元気が沸くのです。

具合が悪いときも、「先生、風邪ひいたの?」とか気遣ってもらえると、
「あぁ、こんな私でも待っていてくれる人がいるんだ」と思えて、
その園が自分の「還る家」に思えてくるのです。

先生方も保護者もみんな一緒、みんな弱き存在です。
保育という生活を通して人間関係を学び、成長していきましょう。
子どもたちは、そういった関係の中で育っていくのです。
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先生だけではなく、お母さんも一生懸命子育てをしています。
しんどいときも、苦しいときも、イライラするときもあります。
そんな時、みんなで支え合って、気遣いながらお父さんもお母さんも
子ども達も先生も共に成長していけたら最高ですよね。

頑張りましょう。