人のために行動するということ(あるシスターとホームレスの話)
日本講演新聞の「転載して、過去を未来へ」というコーナーで
興味深い話が紹介されていました。
臨済宗の僧侶で故人の松原泰道さんの話です。
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これは実際にあった話です。
仙台にあるカトリック教会のシスターさんが所用で
東京に出てこられ、用が済み、仙台に帰るため上野駅で
切符を買おうと自動販売機の前で財布からお金を取り出していた時でした。
ホームレスの男が近づいてきて、「何か恵んでくれ」と言うわけです。
シスターは嫌な顔一つせず、「ちょっと待ってください」と、
財布をあけて中を見たんですが、切符を買うお金しかありませんでした。
「ごめんなさい。これしかないんです。」と言ったら、
そのホームレスの男は財布の中を覗き込んでびっくりした。
「ほおー、これっぽっちしか持ってないのか。それじゃあ弁当も買えないじゃないか。
それなら俺のほうが金持ちだ。これ、あんたにあげるよ。」
そう言ってシスターに1000円札を渡そうとしたんです。
シスターはびっくりして、「結構です。」と断った。
そしたらホームレスの男は、「いや、俺はあげると言ったらあげるんだ。」と譲らない。
シスターもホームレスからお金をもらうわけにはいきませんから、
「いえ、結構です。」と断る。
それでもホームレスの男は「頼むからもらってくれ」と言う。
そのうち二人の周りに人だかりができました。
多くの人が見ています。
ますますシスターはもらうわけにはいかなくなりました。
そしたら、野次馬の一人が「シスターさん、もらってあげなさいよ。」と言いました。
すると別の人も「そうだ、そうだ。」と言うんです。
仕方なくシスターはホームレスの男から1000円を受け取りました。
そしたらホームレスの男はとても喜んだんですね。
たまたまそこに新聞記者がいまして、
そのホームレスの男に感想を聞いたんです。
ホームレスの男は、「俺は今までもらうことばかり考えていたけど、
俺だって人様に施(ほどこ)しができると思ったら生きがいを感じた。」
と答えたというんです。
その話が新聞に載ったのです。
人は何かのきっかけで人生観ががらっと変わることがあるんですね。
どんな人でも「人間性」というものを持っている。
その「人間性」を自覚することによって初めて自分を救い、
その次に人様を救うことができるんです。
まず私たちはそういう心をもっているということを信じてほしいんです。
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人のために動くことは、
お金や時間に余裕ができたときだけできる事ではありません。
「人のために生きる」という気持ちさえあればできる事は必ずあります。
誰かのために頑張ると、あなたの心も喜びに満たされます。