共感はどこからやってくる?
日本講演新聞(旧みやざき中央新聞)で生物学者の池田清彦さんの
講演の取材記事から紹介します。
池田清彦さんは『ホンマでっか!?TV』に出演されている人です。
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生まれて間もない赤ちゃんは言葉を理解できません。
だけれども、コミュニケーションは取れるということがわかっています。
お母さんの目や態度を見て、この人は私に何をしたがっているのか、
そういうことがわかるみたいです。
だから、お母さんは赤ちゃんにニコニコ笑って、言葉がわからなくても
いっぱいしゃべってあげることが大事です。
人間など高等な霊長類の脳には「ミラーニューロン」という細胞があります。
これを使って、人間は相手の行動をわが身のことのように
置き換えることができると考えられています。
相手が笑っているのを見ていると、ミラーニューロンを通して
なんとなく自分も楽しい気分になる。
相手が怒っているのを見ると自分も怒りたくなる。
人間が「共感する」というのは、ミラーニューロンが
関わっているといわれています。
私が『ホンマでっか!?TV』で共演している、脳科学者の
澤口俊之さんが次のようなことを言っていました。
「ドメスティックバイオレンス(DV)は遺伝するように見えるけど、
実はあれは行動パターンを真似しているだけなんだ」と。
DVは先天的に遺伝するのではなくて、お父さんやお母さんが子どもに
DVをすると、ミラーニューロンを通して子どもも
DVをするように脳が変わっていくそうなんです。
そうならないために、7歳くらいまでの育て方が大事になってきます。
赤ちゃんはいろいろなことをまねして覚えます。
そこでお母さんやお父さんにとって言えることは、
自分に似た子どもを育てるこのが一番簡単だということです。
親が自分のしていることを子どもに真似させてやればいいんですから。
両親が楽しそうにしていると、それを見ている子どもはミラーニューロンを
興奮させて「楽しそうだ」と感じて、まねをします。
ですから、両親が楽しそうな行動をして、それを子どもがやりたがって
ミラーニューロンの回路が発達する、ということが大事になってくるんです。
ミラーニューロンの回路の発達は、おそらく7歳くらいまでに
決まってしまうので、それまでの両親の関わり方は非常に重要になります。
親が楽しそうにしている様子を見ると「自分もやりたいな」と思うような、
そんなミラーニューロンの回路を発達させてやれるならば、
それはとってもいいことだと思います。
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やはり、笑顔って大切ですよね。
どんなに苦しいときでも笑顔でいたいです。