子どもたちの優しさが切ない「ひなの国みせ」
「致知BOOKメルマガ」から紹介します。
春が近づくと桃の花やひな祭り、ひな人形が話題になります。
女の子がいる家庭ではひな人形を出すところもあるでしょう。
その、ひな人形について「致知BOOKメルマガ」からある話を紹介します。
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子どもたちの優しさが切ない「ひなの国みせ」
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ひな人形やひなまつりには、心温まる美しい話が残っています。
昔むかし……、春になり、桃の節句の季節になると、
女の子たちはひな人形をもって山に登ったものでした。
春のおだやかな陽ざしのなかで、女の子たちは小高い山に行き、
草のうえに着てきた晴れ着の羽織を広げます。
そして、ひな人形をかざるのです。
小さい人形という意味のひな人形です。
今のひな人形のように完成されたものではなく、とても素朴なものでした。
丘の上にひな人形をかざって何をするのかというと、
ひな人形に四方の春の美しい景色を見せてあげるのです。
これは「ひなの国みせ」といい、実際に行われていた風習です。
実は、ひな人形に、生まれてすぐ、あるいは幼くして死んでしまった弟、妹のことをたくしています。
旧暦では、ひなまつりのころには桃の花やたちばななどが満開です。
寒くて暗い冬が終わり、いっせいに花が咲きはじめ、美しい変化をとげる春がやってきました。
「このようすを、弟や妹にも見せてあげたかったな」と
思う小さなお姉さんやお兄さんたちの優しい、切ない気持ちが伝わってくるようです。
昔は子どもが生まれるのも育つのも、大変な時代でした。
だからこそ、亡くなった弟、妹に、生きていればいっしょに楽しめた世界を見せてあげる。
そうやって遊んでいたのです。
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日本の古来からの行事・風習にはいろいろな意味がこめられているんですね。
一つひとつの行事のいわれや意味を考えて体験すれば、もっと日本を好きになれる様な気がします。