子どものウソ①(子育てシリーズ㉔)
子育てシリーズで何度も紹介していますが、児童精神科医の佐々木正美さんの
著作『はじまりは愛着から~人を信じ、自分を信じる子どもに~』から紹介します。
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子どものウソ
~叱るよりも、受容する気持ちが大切~
【まとめ】
ウソは、悪意ではなく、むしろ美しい心から始まります。
ウソに気づいても、安易に感情的にならず、
子どもの気持ちを抱擁しながら育てましょう。
子どものウソに悪意はない
子どもにかぎらず、人間は誰でもウソをつきます。
まず人間は自尊心を守るために、ウソをつかなければなりません。
みじめな自分を相手に知られることがつらいので、いろいろな程度や
内容において言いつくろうことは、誰もがすることです。
また、自分が考えたり思っていることを、そのまま伝えると、
相手を傷つけたり、不愉快にするとわかっている時にも、
適度に言いつくろって、自分の気持ちをありのままに語ったりはしません。
私たちは普通、相手との関係のあり方を意識し、自分のことと相手のことを
思い比べながら、さまざまなことをさまざまな程度に、
内容を変えたり、言い方の強さを工夫したりして、話をしています。
そんなとき、私たちは、時として自分の思いや、実際の内容とは
正反対なことを言うことがあります。
それもウソをつくという行為です。
ですからウソは、まず自分を、そして相手を、不愉快にしたり傷つけたりすることが
ないように、内容や程度を改変することであり、本来は悪意があって言うことではありません。
そのことを、幼い子供でも実感しているのですが、子どもがウソをついたと
わかった時の母親の脳裏には、その認識があまりないようです。
多くの場合、「それは違うんじゃないの!」と、頭から否定し、
親が感情的になってしまって、子どもの自尊心を傷つけるような叱り方をしてしまいます。
そうなると叱られた子供は、そのあとばれないようなウソをつこうと、
上手にウソをつく努力をするようになっていきます。
自分が傷つかないように、相手を不愉快にしないようにと、
ウソの根源は、むしろ美しい心や気持ちからはじまるものなのです。
ですから、ウソをついた子供の気持ちを思いやり、
上手に接することが、親として何より大切です。
(②に続く)