稲盛和夫が即答した「人生で一番大事なもの」

致知出版社のツイッターから稲盛和夫さんのインタビューを紹介します。
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稲盛和夫さんは日本を代表する経営者として、その名を知らない人はいないでしょう。
京セラやKDDIを創業し、それぞれ1・5兆円、4・9兆円を超える大企業に育て上げ、
倒産したJALの会長に就任すると、わずか2年8か月で再上場へと導きました。

今年86歳を迎え、「新・経営の神様」の異名を取る稲盛さんから、
いま私たちが学ぶべきこととは何でしょうか。

①仕事の不平不満を消し去る唯一の方法

稲盛さんは京セラの創業者であり、経営破綻(はたん)に陥った
日本航空をわずか2年8か月で再上場に導いた名経営者です。

その稲盛さんが新卒で入社した会社はスト続きで給料は遅配。
嫌気がさした稲盛さんは自衛隊に転職しようとしますが、
実兄の反対を受け、そのまま会社に止まりました。
鬱々(うつうつ)とした日が続きました。会社から寮への帰り道、
「故郷」を歌うと思わず涙がこぼれたといいます。

こぼれた涙を拭(ぬぐ)って、こんな生活をしていても仕方がない、
と稲盛さんは思い直します。
自分は素晴らしい会社に勤めているのだ、
素晴らしい仕事をしているのだ、と思うことにしたのです。
無理矢理そう思い込み、仕事に励みました。

すると不思議なもので、あれほど嫌だった会社が好きになり、
仕事が面白くなってくるではありませんか。
通勤の時間が惜しくなり、布団や鍋釜を工場に持ち込み、
寝泊まりして仕事に打ち込むようになります。
仕事が楽しくてならなくなったのです。
そのうちに一つの部署のリーダーを任され、赤字続きの会社で
唯一黒字を出す部門にまで成長させました。

新卒社員の3割が3年以内に離職すると言われて久しいのですが、
稲盛さんは当時のご自身の体験を踏まえて、こう言います。

「いまの若い人たちの中に、自分が望んでいる道を選ぶことが
できなかった人がいたとしても、いまある目の前の仕事に脇目も振らず、
全身全霊を懸けることによって、必ずや新しい世界が
展開していくことを理解してほしいですね。
ですから、不平不満を漏らさず、いま自分がやらなければならない仕事に
一所懸命打ち込んでいただきたい。
それが人生を輝かしいものにしていく唯一の方法と言っても過言ではありません」

これこそまさに稲盛流成功哲学の要諦と言えるでしょう。

②人生で一番大事なものは何か

稲盛さんが最後に語られた言葉もまた忘れられません。

取材の締め括りに、「今日まで86年間歩んでこられて、
人生で一番大事なものは何だと感じられていますか?」
と質問をしたところ、稲盛さんは間を置かず即座に、
なおかつ熱を込めて、要旨次のように答えられました。

「やっぱり人生で一番大事なものというのは、
1つは、どんな環境にあろうとも真面目に一所懸命生きること。
それともう1つは、人間は常に〝自分がよくなりたい〟
という思いを本能として持っていますけれども、
やはり利他の心、皆を幸せにしてあげたいということを
強く自分に意識して、それを心の中に描いて生きていくことです」

私たちもこの2つの条件を満たすべく、自己研鑽に努めていきたいものです。